Ｎｕｍｂｅｒの別冊 拳の記憶
久々の我がカリスマ、辰吉 丈一郎 の生の声に心が打たれた
忘れた頃に届くその決意
その本気さに
魂が“おら、おっさんしっかりせいよ”と
喝を入れられた気分になる
４０にして
練習場所も制限された今
本気で４回目の世界奪取を目論んでいる
白いものが目立ちはじめた顎鬚を蓄えた
かつて天才という名をほしいままにした元世界王者に
アホやのバカやのと
彼からアホやのバカやのと
絶対に言われることがないヤカラが
言うのは簡単である
事実、再びリングに上がれる日が
来るかどうかさえもわからない男に
何の期待を抱く人間もいないだろう
それでも彼が
４度目！と口に出せば
もうない！とわかりきってるはずやのに
僕は
彼ならひょっとしたらできるかもしれない
やってくれるかもしれないと思ってしまう
たぶん
僕以外の辰吉という男に魅せられた人間は
みんなそうだろう
そしてみんな願ってる
もう一度リングの上で右手をぐるぐるさせるカリスマの姿が見たいと
そして
もうリングに上がってほしくないとも
時だけが
彼を止めれるなら
早く過ぎ去ってほしいとも思う
いい夢を
いっぱい見させてくれた彼のために
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