スグ下で眺めている初老の集団で
一番うるさいオヤジが
試合終了と同時に「よし勝った勝った」と
自分を鼓舞するように吠えている

僕の隣でゆうすけさんは
勝ちはない!という顔をして
採点が読み上げられるのを待ってる

ボクは正直わからなかった
勝ったとはいえないかもしれないけど
負けたともいえない
そんなモヤモヤっとした気分だった

集計に手間取ってる
ようやくリングアナウンサーが
スコアカードが読み上げる

116-112
117-111
117-111


『おお3-0だ!』

リングアナウンサーは続けた『勝者WBA世界スーパーフライ級チャンピオン ウーゴ・カサレス 』と

「NEW」じゃないんかえ 』と
初老のオヤジの悲痛な声がつぶやかれた

されど誰一人
この採点に不満を感じていないのは
帰り始めた観客を見ても明らかだ

ボクの予想は
芸術的カウンターで王者をマットに沈めるか
それともまったく空転してしまい面白くない試合になるか
だと思っていたので

その中間ぐらいの試合内容で中途半端な気持ち
序盤はボディへの右ストレートが良かったのに
4R辺りで、右ストレートが当たってからは
舞い上がってしまったのかボディを忘れてしもたね

惜しかったのはそれ
手数が少ないのは久高の特徴
それを攻めても仕方がない

まあ、カウンターパンチャーの宿命
型にはまらなければ
突き抜けるモノを感じさせないボクシングやから
しゃーないわな

ほなこのモヤモヤした気分を吹っ切るために
ゆうすけさん呑みにいきましょうや

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