本田さんの採点の結果に不満を抱きながら
ボクシング仲間に速報メールを打ってたら
会場内には『タフボーイ』が流れはじめた
いよいよメインイベント!!
やつがリングに入場してくる
何本もの鳳凰の幟が高々と掲げられ揺れている
そして姿を見せた
小松則幸

リング上でロープを跨ぐ寸前
彼はいつものように観客に向かって『行くぞー!!』と声を張り上げた
ボルテージはマックス

小松がリングインすれば
やや場内は静けさを取り戻す

今日の相手は元世界王者タイのラタナポン・ソーウォラピン
2度世界王座に君臨したことがある歴戦のツワモノだ
だが見た目は明らかに老けている

小松はこのやや老けた歴戦のツワモノを明白に下し
日本人が蠢く世界フライ級戦線に名乗りを上げたいもんだ!!
いや
名乗りを上げるのだ

怖い?
怖さなど無い

ココまできたら
叩き潰すのみだろ!
小松、容赦なくやったれや
心の中で吼えてみた

そして運命のゴングが鳴った

小松固い
ここ数戦で見てきた危ない立ち上がり
思わず目を背けたくなったが
ラタナポンはまったく手を出さない
状態を低くして小松との距離を探っている

なんとも不気味な時間が
小松がコーナーに詰まった瞬間に
消し飛んだ

ラタナポンが打ち始めると
小松は為す術なくダウン
しかし1度目のダウンはレフリーの死角で救われた

と思った瞬間
今度は強烈な右で小松が吹っ飛ぶ
立ち上がり
よく打ち返すも
ラタナポンの猛攻は止められず
2分16秒レフリーが試合を止めた

わかっていた
こうなることは心のどこかでわかってた
でもファンとして見守りたかった
いや
ファンならば
わかっていたことを封印し否定した
小松は勝つんだ!と心の底から信じた
でもかなわなかった

トラッシュ中沼の強烈なパンチをまともに浴びても立っていた男が
ポンサクレックに挑んだ世界戦以降
明らかに別人になっている

それは小松ファンなら誰でも”わかっている”ことだろう?
でも
トラッシュ中沼の強烈なパンチに耐えたあの頃や
ロリー・ルナスの若さを粉砕したあの強烈なパンチを
忘れられないのだ

ファンが忘れられないんだから
小松自身が忘れられるはずもなく
今日という日を迎えた

ただそれだけのこと

会場を出るまでは
”わかっていたこと”で済ませられたけど
大阪城公園に向かう道のりを歩いていると
泣けてきた

これで本当に終わりかな・・・

終わってほしい思いと終わってほしくない思いが
心の中で闘う

いずれにせよ
俺が闘うわけではない
決めるのは小松だ

なんという寂しい夜なんだ

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